真偽不明なアイデンティティ

真偽不明な自然言語によって構築された論理体系は常にその体系内に偽が内在的に含まれており、それらを否定するためのインセンティブが新たな体系に生まれ続ける。

 

曖昧な自然言語における論理体系に基づく命題が真偽不明であるとすると、その真偽不明性こそがある共同体または個人に検討されるに値すべき「命題」を発揮させる。これがアイデンティティを生む。

 

「これは真である」という命題が他者から真であると認められ続けた場合、そのアイデンティティは保たれる。しかしながらその逆の命題を他者から指摘され続けた場合、そのアイデンティティは失われる。

 

少なくとも曖昧な自然言語の論理体系を背景にした命題に依存するアイデンティティの喪失には他者が介在するのみであって、真偽は介在しない。

 

昨今、"ポスト・トゥルース"とよく叫ばれるが、そもそも曖昧な自然言語の論理体系においてはすでに真偽は介在していない、つまり、真の意味でのトゥルースは最初から存在していない。